ドライな考え方

前にちょっと、「コード」の話を書きましたが、本当に、結構ドライです。でも、非常にリーズナブルな「ドライ」だと思います。

とにかく、転移があると、保存的な治療しかしなかったりします…。脳や肝臓に転移がある膀胱癌で、乏尿になっても、尿カテを留置して、数ヶ月間そのままで、そこからsepsisになっても、カテは交換されることもなく、とりあえず抗生剤。脳転移で少し混乱しているものの、まだコミュニケーション可能な50代。不整脈になっても、「不整脈で死ぬのは苦しくないし、nice wayだから、不整脈の薬をあげるかどうかは家族と相談しよう。それから、ちょっと貧血だけど、貧血も苦しくないから、輸血をするかは家族と相談しよう。正直、熱がなくて苦しんでないなら抗生剤も止めようか?」などというdiscussionが行われ、驚くべきことに、その通りになりました。いや…すぐに死にそうな感じには全く見えなかったけどな…。日本だったら、おそらく膀胱の手術をして、膀胱皮膚癆を作って、抗生剤はもちろんのこと、輸血とかも完璧にするでしょうね。日本は少し過剰治療なのかもしれませんね…。

それから、腹痛でERにきて、既に転移がある膵臓がんの人がいたのですが、Attendingが、平均余命は何もしなければ6ヶ月で、ベストを尽くしても12ヶ月である旨を説明し、まだ動けるならvacationに行くのもありだから、よく考えてくれ、と言いました…すると、患者は一晩考えたあげく、仕事をやめて妻と一緒にヨーロッパに行きたいから、治療はしないことを決定しました。

日本だと、余命に関して、はっきり伝えず、患者に選択肢を与えず、過剰治療が行われることがおおいですよね…しっかりとevidenceを伝えて、選択させるということは、非常に重要な気がします。