神田先生

玲奈は最近、卒後すぐに渡米して(non PhDで)研究を行い、その後recommendationをもらい、米国でのPhDなり、レジデンシーを目指すというキャリアプランを夢見ており、Neurologyのprofessorに自分の業績をアピールして来年からのpositionをゲットしようと虎視眈々としている。そして、私にもそのキャリアプランに進むことをそそのかしてくる。
確かに、私は研究をするならば、基礎系の研究をしたいと考えており、アメリカのビッグラボの、研究に没頭できる環境に、卒後すぐに身を置けるというのは魅力的だ。日本よりexcitiongで楽しいかも。アメリカ人の、仕事と私生活をしっかり分ける考え方は好きだし、BMI>35くらいの人と会っても驚かなくなってきた。夢破れて日本に帰ってきても、くいっぱぐれることはないだろう。
しかし、その一方で、世界中にインパクトを与える医学者になるよりも、まずは一人の患者の人生に寄り添える確かな技能を持った医者になりたいと思う自分もいる。

そんなことを考えつつ、今日は五月からのローテーションでお世話になるPathologyのProfessorゴギンズ先生とあいさつし、ポスドクとしてゴギンズ先生の下で研究を行っている神田先生とお話をした。

神田先生とは30分ほどお話ができて、卒後すぐに渡米・研究して、レジデンシーを目指すというプランについてお話を伺った。
以下、先生のお話。
1.最短の時間で実験の手技を身に付け、論文を書きたいならば、日本の基礎の教室に通うのがいいのではないか。アメリカではMDだけ(non PhD)で来た研究者はたいてい、初めの2年間くらいは実験助手(テクニシャン)の仕事をして、その後研究を主体的に行えるようになるのだそうだ。(ボスによりだいぶ違うそうだが)実験を始めて結果を出すまでには最低でも3年はかかるし、それが論文としてPublishさせてもらえるかはわからないとのこと。最悪、5,6年研究して、論文なしで日本に帰ることもあり得ると。
2.MD(non PhD)で受け入れをする研究室もあるが、たいていそういうところは、頭を使わずに、ボスの研究のための手技に専念するように求められることが多いので気を付けること。
3.MDだけ持った状態でアメリカで研究を始めるメリットとしてはレジデンシーに進みやすい(コネ作り)、英語が身につくなどなど。
4.現実的な話としては、どうしても卒後すぐにアメリカで研究したいならば、1年間無給で働き、その後推薦をもらって、アメリカでのPhDコースをめざすべきではないか?そうすればしっかりとした教育を受けられ、実験プランの作成も学べるだろうとのこと。
5.医学部入ったんなら、始めの6年くらい臨床やっていいんじゃないの?

澤先生とはまた違った考え方を持つ先生と話すことができてとても勉強になった。そしてゴギンズ先生は学生に対しても敬意を払ってくださる素晴らしい先生で、5月からのローテーションがとても楽しみになった。